優先座席は爆破した方が良い。


友人がこんな体験談をきかせてくれた。
Mさんは、通勤するために電車に乗り、優先座席に座った。Mさんはまだ20代前半の、健康な女性だ。Mさんは、横の座席に座っていた中年男性からの強い視線を感じたが、無視していた。すると、中年男性は立ち上がり、すぐそばに立っていた女の子(小学生くらいか)に、「お嬢ちゃん、どうぞ座って」と言った。中年男性は立って、女の子は座る。駅に着くと女の子は立っている母親に「あのおじちゃんにお礼を言わないとね!」と言って立ち上がり、中年男性に「ありがとうございました!」と大声で言って電車をおりた。

この話をきいて、ぼくはMさんに「その男性は、これ見よがしに聖教新聞など読んでおられなかったか?」と聞いたが、どうも違うらしい。
この話をきいてにわかに沸騰してきた怒りをぼくはどういう風に説明すれば良いだろうか。
「そいつオカマ野郎やな」という一言でよろしいのだが、もう少し具体的に問題点を指摘してみたいとも思った。
ぼくは常々、優先座席の存在や車内の様々な暗黙のルール、暗黙の了解、良識、常識、マナー、というものに疑問を感じていたし、ブログにも何度も書いたことはあるのだが、もはやこの怒りはおさまらない。これを私は反逆行為とみなし、これより戦争状態に突入することを宣言する。


電車内では、お年寄りや体の不自由な方が乗車したときには、健康な若者は席を譲るというのがマナーである。譲るだけではなく、「どうぞ」と一声かけたりもする。
電車内では、健康な若者は、高齢化社会の日本において老人を敬う心を忘れてはならず、すぐさま彼らに敬意を表し、敬礼とともに「太平洋戦争はご苦労様でした」と頭の中で思いながら、席を譲るというのが、良識な行為だとされている。
電車内では、体の不自由な方は、立ったままにしておいては転倒などして危険であるばかりか、松葉杖などの凶器を持ち込む大変危ない存在であり、被害を被らない為に、その予防策として席を譲る、というのが経験上の得策である。
電車内では、体の不自由な方は「社会的弱者」であり、ほとんどの方が精神的にも臆病であり、他人に自ら声をかけて席を譲ってもらうなどという一人前の行為が出来ないので、普通は健康な若者が先に声をかけて席を譲る、というのが正当な順番である。
電車内では、すべてのお年寄りは体が弱いのである。生物学的には「死にもっとも近い人間」という根拠がある。
電車内では、すべての若者は健康状態である。
電車内では、かつてアメリカが白人専用の座席を設けていたように「人を外見で差別し、悪いことをする」という行為を恥ずべき行為であるとして、日本では逆に、「人を外見で差別し、良いことをする」という素晴らしい発想に至った。
電車内では、ただ席を譲るというだけではなく、「どうぞ」と大きい声で言うことにより、周りの乗客に対してのアピールとなり、優先座席という素晴らしい道徳を普及させることも重要だ。
電車内では、老人の意思には全く関係なく、もしくは老人の主義や健康状態など全く関係なく、一方的に席を譲るべきである。
電車内では、座席を譲った若者は、たとえ老人に「私はまだそんな歳じゃない」と叱られて断られたとしても、正義の行いをしたことは賞賛に値する。
電車内では、一般的に、座席を譲られた老人は、「ありがとうございます」と言わなければ「非常識」とされる。
電車内では、すべての席が良識的な席であり、老人や体の不自由な方が立ったままで良いというような車両は基本的には存在しない。
電車内では、とはいえ、なかなか声をかけることに勇気がいるし座席を譲るのが難しい場合もあるので、特別に「優先座席」もしくは「シルバーシート」という名前の、色の違う座席を「すみの方」に設けている。
電車内では、各車両のすみに特別に「優先座席」を設けているので、老人や体の不自由な方は、車両のすみに集中し、健常者は車両の中心に集まる。
電車内では、健常者が座る席と、老人や体の不自由な方が座る席は、色によって区別されている。
電車内では、老人が立っているにも関わらず、無視して座ったままでいる若者は、その若者の健康状態や主義や心理状態に全く関係なく、「非常識な若者」と認識される。
電車内では、老人とは、「見た目が年老いている人」のことである。
電車内では、座席を譲る行為は義務ではないにも関わらず、様々な報告例があり、日本人は大変良識があるとされる。
電車内では、座席を譲る行為は「思いやり」に基づいており、「思いやり」は正義であるという大前提がある。


ぼくは電車内では、自分に何のルールも設けていない。基本的には、どんな場合でも座席に座るし、人には席など譲らない。先輩と一緒に乗車するときには先輩に席を譲ったりするし、彼女と乗る時は彼女に席をゆずったりする。なんとなくしんどい時には、彼女より先にぼくが座ったりもする。だが赤の他人に席を譲ることはない。
しかし、目の前に立つ人を見て、「この人は座った方がいいな」と思い、なおかつ座席が全く空いていないときには、ぼくは黙って立ってその場から消える。それはその相手に対する思いやりなどでは全くなく、自分が気が済まないからだ。だからぼくは黙って席を立ってその場から消える。その後、全く別の人がそこに割り込んで座ったとしても全く関係ない。誰が座ろうとかまわない。ぼくは黙って席をたつだけだ。「どうぞ」なんて一言は絶対にかけない。「どうぞ」なんて言うやつは死んだ方がましだ。どんな権利を持って他人に着席を強要できるというんだろう。満員電車で立つ多くの客の中で、一体どんな根拠を持ってその客を座らせるべきだと判断できるのか。どんな人間も、ときには不調であったり、ときには快調であったりする。快調なときでさえもどうしても座りたいときもある。他人から席を譲られることを恥じる人もいる。全員が乗車料を払って乗車している。なんの根拠があって、一方的に正義を押し付けるような権利があるのだろう。ぼくは絶対に席など譲らない。ただ席をたって消えるだけだ。後のことは知らない。基本的には、どんな時でも座る。他人のことなど知ったことではない。
正義があるとしたら、それは自分一人のものだ。他人にとやかく言うものじゃない。もし自分が座席に座っていることで猜疑心に悩まされるなら、黙ってその場から立ち去るべきだ。「どうぞ」なんて声をかけるくらいなら被曝するか射殺される方がいい。

電車内に、包丁を持った男性が乗車したとして、その男性に「包丁は危険ですよ」と声をかけたりはしないだろう。もし「正義」によって何かをするとしたら、黙って電車をおりて、車掌に知らせるだろう。それは自分が助かるだけではなく他の乗客にも助かって欲しいと思うからだ。誰でもわかることだ。
しかしなぜ電車内にババアが乗車したしたときには、黙っていられないのか。なぜ「どうぞ」などと言いたがるのか。

そればかりか、色の違う座席を用意して、「弱者」をそこに押し込めようとする。収容しようとする。これはアメリカの白人専用の座席とは真逆の差別だ。老人や体の不自由な方は奴隷なのか?いっそのこと【老人収容所】とでもかけばいい。老人は目障りだから、車両のすみに移動してくれと言えばいい。それが堂々たる差別行為だ。差別行為を「正義」の名の下に詐称しないでほしい。差別を「思いやり」という言葉で転換しないでほしい。差別するなら堂々たる態度で差別するべきだ。アメリカは堂々と差別したから、黒人は社会的には奴隷だったが、人間であることは一度もやめていない。しかし「思いやり」が老人を奴隷にするなら、そして老人自身がそれに疑問を抱かないなら、それは彼らは心の中まで奴隷になってしまう。



電車内には不思議な常識がたくさんある。通話を禁止する意味もわからないし、優先座席では電源すら切らなくてはならない。

ペースメーカーに障害をあたえるという話があるが、全くおかしな話だ。
これについては、総務省が2006年に800MHz帯の携帯端末を利用した調査報告をしている。

以下、『電波の医療機器への影響に関する調査結果』より引用。



(1) 植込み型心臓ペースメーカについては、ペーシング機能への影響(注1)を生じる場合があることが確認されました。この影響は、携帯電話端末を遠ざければ正常に復する可逆的なもので、最も遠く離れた位置でこの影響が確認されたときの距離(最大干渉距離)は3cmでした。
(2) 植込み型除細動器については、ペースメーカ機能及び除細動機能のいずれに対しても影響は確認されませんでした。

注1  ペーシング機能への影響:外部からの電波の影響により以下の状態が発生すること。
(1) 心臓ペースメーカ等が設定された周期でペーシングパルスを発生している状態において、外部からの電波の影響を受けたことによりペーシングパルスが抑圧され、又は、設定された周期からのずれが発生してしまった状態。
(2) 心臓ペースメーカ等のペーシングパルスが抑圧されている状態において、外部からの電波の影響を受けたことによりペーシングパルスが発生してしまった状態。
注2  本調査では、植込み型医療機器へ及ぼす影響が最大となるよう、携帯電話端末の送信出力を最大にするなどの厳しい条件で試験をしており、調査結果(最も遠く離れた位置で影響が確認された距離等)を通常の通信状態における携帯電話方式間の比較に用いることは適当ではありません。


以上引用。


端末の送信出力を最大にした「厳しい条件」で、「可逆的な」影響がある最大の距離が3cmだ。
もちろん、携帯端末が原因で死亡した報告例は一件もない。



電車内で大声で通話したりしないということは、ただのマナーであって、マナーとはただの文化だ。文化は科学によってとやかく言われるものではない。私たちは、「電車内ではあまりうるさくしてはいけない」という日本人独特の文化によって、気をつかったりするのだ。そこに根拠など必要ない。ただの文化でいいのだ。
こと間違った科学によってマナーが「ルール」になってしまったら、本末転倒もいいところだ。




優先座席は爆破した方が良い。 優先座席は爆破した方が良い。 Reviewed by asahi on 13:33 Rating: 5

2 件のコメント:

  1. >>老人は目障りだから、車両のすみに移動してくれと言えばいい。
    すみに設置しといたほうがわかりやすい(ホームに”優先席はここ”とでもプリントして知らせることも出来るがコストがかかる)からやろ?

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    1. そうですね。わかりやすいに越したことはないので。女性専用車両も端にあることが多いみたいですね。
      ちなみに、優先座席も女性専用車両もホームに表示はあります。

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